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経理 業務効率化:ムダをなくす!今日からできる具体的な5つのステップ

作成者: StepBase|2025.09.09

現代のビジネス環境において、企業が競争力を維持・向上させるためには、各部門の業務効率化が不可欠です。中でも「経理業務」は、企業の財政状態を正確に把握し、経営判断の基盤となる重要な役割を担っています。しかし、多くの企業では未だ非効率な業務プロセスが残り、経理担当者の負担増やヒューマンエラーの温床となっているのが現状です。

 

「毎月締め作業に追われている」

「紙の書類が山積みになっている」

「法改正への対応で手一杯」――

 

もし貴社がこのような課題を抱えているのであれば、経理業務の効率化は喫緊の課題と言えるでしょう。

 

この記事では、経理業務に潜む「ムダ」を徹底的に排除し、今日から実践できる具体的な効率化ステップを5つご紹介します。最新のITツール活用からアウトソーシングまで、多角的なアプローチで貴社の経理業務を変革し、生産性向上と経営強化を実現するためのロードマップを提示します。

 

 

1.経理業務に潜む「ムダ」とは?効率化が求められる背景

 

「なぜうちの経理はいつも忙しいのか?」そう感じるのは、決して人手不足だけが原因ではありません。多くの経理部門には、長年の慣習や非効率な仕組みが温存されがちです。ここでは、経理業務が抱える主な課題と、効率化が強く求められる背景を解説します。

1-1.紙文化による非効率性

経理業務において、請求書、領収書、伝票などの紙書類は依然として多く存在します。紙ベースの運用は、以下のような非効率性を生み出します。

 

手作業での入力・転記 紙の情報をシステムに入力する手間が発生し、時間がかかるだけでなく、入力ミスも起こりやすくなります。
物理的な保管・検索コスト 大量の紙書類のファイリング、保管場所の確保、必要な書類を探し出すまでの時間がムダになります。
承認フローの遅延 稟議書や経費申請書など、紙の書類を回して押印や承認を得るプロセスは、物理的な移動を伴うため時間がかかり、業務が滞る原因となります。
郵送コスト・手間 取引先とのやり取りにおいても、印刷・封入・郵送といった手間とコストが発生します。

 

このような紙文化は、デジタル化が進む現代において、企業競争力を低下させる大きな要因となっているのです。

1-2.属人化とヒューマンエラーのリスク

経理業務は専門性が高く、特定の担当者しかその業務の内容や進め方を知らない「属人化」が進みやすい傾向にあります。

 

ノウハウのブラックボックス化 特定の担当者にしかできない業務があると、その担当者の休暇や退職時に業務が滞るリスクがあります。
教育・引き継ぎの困難さ 属人化した業務はマニュアル化されておらず、新しい担当者への引き継ぎや教育に膨大な時間と労力がかかります。
ヒューマンエラーの誘発 手作業によるデータ入力や確認が多いと、どれだけ注意していてもミスは発生します。二重チェックなどの対策も、手作業では限界があります。

 

特に金銭を扱う経理業務では、わずかなミスが企業の信頼失墜や経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。心理的プレッシャーから作業が遅延するケースも指摘されています。

1-3.法改正への対応と業務量の増大

近年、電子帳簿保存法やインボイス制度など、税制や会計基準の法改正が頻繁に行われています。これらの法改正に対応するためには、経理担当者は常に最新の情報を学習し、既存の業務フローやシステムを改修する必要があります。

 

対応時間の確保が困難 通常業務に加えて法改正への対応を迫られるため、経理担当者の業務負担は増大し、残業時間の増加にもつながりかねません。
罰則リスク 正しく対応できない場合、罰則を課されるリスクも存在します。

 

このような背景から、限られたリソースの中でこれらの課題を解決し、より効率的でミスの少ない経理体制を構築することが、現代企業には強く求められています。

2.経理業務を効率化する5つの具体的なステップ

 

ここからは、貴社の経理業務からムダをなくし、効率化を実現するための具体的な5つのステップを解説します。一つひとつのステップを着実に実行することで、大きな変革が期待できます。

step1.現状の業務フローを「見える化」し、ムダを洗い出す

効率化の第一歩は、現状の業務を正確に把握することです。何がムダで、どこに改善の余地があるのかを明確にするために、経理業務の「見える化」から始めましょう。

業務の棚卸しと可視化

  • 経理部門で行われているすべての業務を洗い出し、リストアップします。

  • 各業務について、「誰が」「いつ」「どのような手順で」「どれくらいの時間をかけて」行っているかを詳細に記録します。業務フロー図を作成するのも有効です。

  • 特に、特定の担当者に業務が集中している「属人化」している部分や、承認に時間がかかっているボトルネックを見つけ出しましょう。

ECRSの原則で業務を見直す

洗い出した業務に対して、以下のECRS(イクルス)の4原則を用いて見直しを行います。

 

E(Eliminate:排除)

その業務自体をなくせないか?

(例: 不要なチェックや報告書の廃止)

C(Combine:結合)

複数の業務をまとめられないか?

(例: 複数拠点からの申請を一元化)

R(Rearrange:再配置・交換)

業務の順序を変えたり、担当者を入れ替えたりできないか?

(例: 承認フローの簡略化、業務の並行処理)

S(Simplify:簡素化)

業務のやり方をもっとシンプルにできないか?

(例: 手作業を減らす、記入項目を削減する)

フォーマットの統一

請求書、伝票、報告書など、社内で使用する各種帳票のフォーマットを統一することは、ミスを減らし、処理時間を短縮する上で非常に効果的です。バラバラのフォーマットでは、経理担当者が毎回異なる形式に対応する必要があり、確認作業の手間が増えます。誰でも使いやすいシンプルなフォーマットを作成し、全社で徹底するように周知しましょう。

step2.ペーパーレス化・キャッシュレス化を徹底する

紙と現金の取り扱いを減らすことは、経理業務の効率化において最も直接的かつ大きな効果をもたらします。

✅紙書類の電子化

請求書や領収書などの紙書類を電子データに切り替えることで、印刷、郵送、保管、検索にかかる時間とコストを大幅に削減できます。

 

スキャナ保存 紙で受領した書類も、スキャナで読み取り電子データとして保存します。
電子請求書・電子領収書の導入 取引先に協力を仰ぎ、電子形式でのやり取りに移行します。
ワークフローシステムの導入 稟議や承認フローをオンライン化し、押印のための出社を不要にします。

✅現金扱いの削減(キャッシュレス化)

小口現金の廃止や、法人カード、QRコード決済などのキャッシュレス決済を推進することで、現金管理に伴う手間やリスクを大幅に軽減できます。

 

  • 現金精算が減ることで、レジの締め作業、現金過不足の確認、両替などの作業が不要になります。

  • 取引履歴がデータとして残るため、会計処理がスムーズになり、透明性も向上します。

子帳簿保存法・インボイス制度への対応

2022年の電子帳簿保存法改正により、電子取引で受領した書類は原則として電子データでの保存が義務付けられました。また、2023年に導入されたインボイス制度も、適格請求書の電子化を促しています。これらの法制度に適切に対応するためにも、ペーパーレス化・キャッシュレス化は不可欠です。最新の法改正に対応したシステムを導入することで、法令遵守と効率化を両立できます。

step3.クラウド会計ソフト・経費精算システムを導入する

経理業務の効率化には、ITツールの活用が欠かせません。中でもクラウド会計ソフトや経費精算システムは、多くの定型業務を自動化し、劇的な効率化を実現します。

クラウド会計ソフト導入のメリット

自動仕訳・自動連携 銀行口座やクレジットカード、POSデータなどと連携し、取引データを自動で取り込み、仕訳を自動生成します。これにより、手入力の手間とミスを大幅に削減できます。
リアルタイムでの財務状況把握 データが常に最新の状態に保たれるため、月次決算や年次決算の早期化、経営状況のリアルタイムでの把握が可能になります。
法改正への自動対応 クラウド型は常に最新の税制や会計基準に自動でアップデートされるため、法改正への対応工数を削減できます。
場所を選ばないアクセス インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、リモートワークや拠点間の連携もスムーズになります。

会計ソフトの選び方

必要な機能 自社の規模や業種、解決したい課題に合わせて、必要な機能が搭載されているかを確認しましょう(例: 買掛金管理、売掛金管理、固定資産管理など)。
他システムとの連携 給与計算ソフトや販売管理システムなど、既存の業務システムとスムーズに連携できるかも重要です。
サポート体制 導入時や運用中に困った際に、充実したサポートが受けられるかも確認ポイントです。

経費精算システムの活用

経費精算は、従業員と経理担当者双方にとって大きな負担となる業務の一つです。

 

申請・承認の電子化 領収書をスマートフォンで撮影するだけでデータ化され、申請・承認がオンラインで完結するシステムもあります。
自動仕訳・連携 会計ソフトと連携することで、精算データが自動で仕訳され、転記作業が不要になります。
不正防止

申請履歴の可視化や権限管理機能により、不正利用のリスクを軽減できます。

 

 

step4.RPA・AIを活用して定型業務を自動化する

クラウド会計ソフトなどの導入で自動化が進んでも、まだ手作業が残る定型業務があります。そのような業務には、RPA(Robotic Process Automation)やAI(人工知能)の活用が効果的です。

RPAによる自動化の範囲

RPAは、パソコン上で行われる定型的な繰り返し作業をソフトウェアロボットが代行する技術です。

 

データ入力・転記 複数のシステムからのデータ収集や、異なるフォーマットへの入力作業を自動化します。
照合・突き合わせ 銀行口座の入出金データと売掛金・買掛金の突き合わせ(消込作業)などを自動で行います。
レポート作成 定期的なレポート作成のためのデータ集計・加工を自動化します。

 

事例として、伝票処理や売掛金の消込作業をRPAで自動化し、処理スピード向上と人的ミス削減を実現したケースも報告されています。


✅AI-OCRによるデータ入力の効率化

AI-OCR(人工知能搭載の光学文字認識)は、紙の請求書や領収書、その他の帳票から文字情報を高精度で読み取り、データ化する技術です。

 

  • 手書きの文字や複雑なレイアウトの書類でも高い精度で認識できるため、手入力の手間が大幅に削減されます。

  • 読み取ったデータは会計ソフトなどと連携し、自動仕訳や支払処理に活用できます。

 

■ 自動化の具体例

請求書処理 AI-OCRで請求書をデータ化し、RPAで会計システムへ自動入力、支払処理を自動化する。
経費精算 従業員が提出した領収書をAI-OCRで読み取り、経費精算システムに自動入力、会計ソフトへ連携。
入金消込 銀行の入金明細と売掛金データをRPAで照合し、自動で消込を行う。

 

これらの技術を活用することで、経理担当者は単純作業から解放され、より高度な分析業務や戦略的な業務に注力できるようになります。

step5.経理業務の一部をアウトソーシングする

社内のリソースが不足している場合や、専門性の高い業務に対応しきれない場合は、経理業務の一部を外部の専門業者に委託する「アウトソーシング」も有効な手段です。

✅アウトソーシングのメリット

人手不足の解消 専門知識を持つ人材を必要な時に必要なだけ活用できるため、慢性的な人手不足の解消につながります。
コスト削減 採用・育成コストや社会保険料などの固定費を削減し、変動費として経理コストを最適化できます。
業務品質の向上 専門家が業務を担当するため、処理の正確性やスピードが向上し、法改正への対応も安心です。
コア業務への集中 記帳や経費精算などのノンコア業務を委託することで、社内の経理担当者は資金計画や予算管理といった戦略的なコア業務に集中できます。

業務の可視化・

属人化解消

アウトソーシングの際に業務フローの棚卸しが必要となるため、結果的に業務の可視化や属人化解消につながります。

どんな業務をアウトソーシングできるか

  • 記帳代行(仕訳入力、伝票整理など)

  • 経費精算のチェック・処理

  • 請求書発行・送付、入金管理

  • 給与計算、年末調整

  • 月次・年次決算業務の一部支援

外部専門家の活用

税理士事務所や経理代行サービスなど、外部の専門家は、単に業務を代行するだけでなく、業務フロー改善のアドバイスや最適な会計ソフトの導入支援も行ってくれます。自社の課題に応じて、どのようなサービスが最適かを見極めることが重要です。

3.経理業務効率化で得られる大きなメリット

 

経理業務の効率化は、単なる作業時間の短縮に留まらず、企業全体に多大なメリットをもたらします。

✅コスト削減

ペーパーレス化による用紙代や印刷代、郵送費の削減、RPAによる人件費(残業代など)の抑制、アウトソーシングによる固定費の変動費化など、多岐にわたるコスト削減効果が期待できます。

✅ヒューマンエラーの減少

システムの導入や自動化により、手作業による入力ミスや計算ミスが大幅に削減されます。これにより、確認作業の負担も減り、業務の正確性が向上します。

✅コア業務への集中

定型業務や単純作業が効率化・自動化されることで、経理担当者は、資金計画、予算管理、経営分析、税務戦略といった、より高度で付加価値の高い「コア業務」に集中できるようになります。これにより、経理部門は企業の戦略パートナーとしての役割を強化できます。

✅経営判断の迅速化

クラウド会計ソフトなどにより、財務データがリアルタイムで更新され、常に最新の経営状況を把握できるようになります。これにより、経営者は迅速かつ的確な意思決定を下せるようになり、市場の変化への対応力も向上します。

✅従業員満足度の向上

非効率な業務や残業が減ることで、経理担当者の心理的・肉体的負担が軽減され、ワークライフバランスが改善します。これにより、従業員満足度が向上し、離職率の低下にもつながります。

4.効率化を進める上での注意点と成功の秘訣

 

経理業務の効率化を成功させるためには、以下の点に注意し、計画的に進めることが重要です。

4-1.導入前の計画と目標設定

課題の明確化 何を解決したいのか、どの業務を効率化したいのかを具体的に特定します。
目標設定 どのような状態を目指すのか、具体的な数値目標(例: 月次決算期間を5日短縮、残業時間を10時間削減など)を設定します。
スモールスタート 最初からすべてを変えようとせず、効果の大きい業務から段階的に導入を進めることで、リスクを抑えつつ成功体験を積み重ねることができます。

4-2.従業員の理解と協力

新しいシステムや業務フローの導入には、現場の従業員の協力が不可欠です。

 

説明と教育 なぜ効率化が必要なのか、新しいツールのメリット、操作方法などを丁寧に説明し、十分な教育機会を提供します。
意見のヒアリング 導入前に現場の意見を吸い上げ、懸念点を解消することで、導入後のスムーズな運用につながります。
ITリテラシーの向上 経理担当者のITリテラシー向上は、効率化ツールを最大限に活用するために不可欠です。

4-3.継続的な見直しと改善

業務効率化は一度行えば終わりではありません。

 

効果測定 導入後の効果を定期的に測定し、目標達成度を確認します。
フィードバック 実際に使用している従業員からのフィードバックを収集し、改善点があれば積極的に取り入れます。
PDCAサイクル Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルを回し、継続的に業務改善に努めることで、より高い効率化が実現します。

最適な業務効率化を

経理業務の効率化は、企業の未来を創る戦略的な取り組みです。

 

しかし、「何から手をつけていいか分からない」「自社に最適なツールや方法が知りたい」といったお悩みをお持ちの企業様もいらっしゃるかもしれません。

 

StepBaseでは、経理業務の効率化に関するご相談や、最適なアウトソーシング手法をご提案しています。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。課題解決をサポートし、スムーズな業務変革を強力に推進いたします。