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【経理 引き継ぎなし】ゼロから業務を回す!最初の一歩と情報収集術

作成者: StepBase|2025.12.17

【ゼロからのスタート?!】

経理の「引き継ぎなし」でも業務を回す!最初の一歩と情報収集術

 

経理業務は会社の「お金」を管理する重要な役割を担っており、その正確性と継続性が企業の安定経営を支えています。

 

しかし、突然の担当者退職や異動、あるいは新規事業立ち上げなどで「引き継ぎなし」の状況に直面することは少なくありません。このような状況は、多くの企業にとって深刻なリスクとなり得ます。マニュアルがない、誰も業務内容を把握していないといった状態は、業務の停滞や経営判断の遅れ、最悪の場合、企業の信用失墜にもつながりかねません。

 

本記事では、まさに「ゼロからのスタート」を余儀なくされた経理担当者の方、あるいはそのような状況に備えたい経営者の方に向けて、引き継ぎなしの状況を乗り越えるための最初の一歩から、効率的な情報収集術、そして属人化を防ぎ、盤石な経理体制を構築するための具体的なステップを徹底的に解説します。経理業務を安定させるための一助となれば幸いです。

 

1. 「引き継ぎなし」の経理業務がもたらすリスクと課題

 

引き継ぎが不十分な経理業務は、以下のような多岐にわたるリスクと課題を企業にもたらします。

1-1. 業務の停滞と遅延

前任者から十分な情報共有がなかった場合、後任者は業務の進め方や優先順位が分からず、手探りで作業を進めるしかありません。これにより、

 

  • 日次業務(現金・預金管理、仕訳入力など)
  • 月次業務(給与計算、請求・支払業務、月次決算など)
  • 年次業務(決算書作成、税務申告など)

 

のあらゆる段階で停滞や遅延が発生する可能性があります。特に、月次決算の遅延は資金繰りや経営判断に悪影響を及ぼし、年次決算の遅延は法人税申告などに支障をきたします。

1-2. 経理の属人化とブラックボックス化

引き継ぎがない状況は、以前から経理業務が特定の担当者に依存し、その人しか業務内容を把握していない「属人化」の状態にあったことを示唆しています。マニュアルが整備されていない、業務プロセスが個人の記憶やファイル名に依存しているといった状態では、業務の透明性が失われ、ブラックボックス化が進みます。これは不正の温床となるリスクもはらんでいます。

1-3. 人的ミスやコンプライアンス違反のリスク増大

業務プロセスやルールが不明確な状態で作業を進めることは、入力ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーを誘発しやすくなります。経理は会社のお金を扱うため、小さなミスでも大きな問題に発展する可能性があります。また、適切な承認プロセスが機能しない、税法や会計基準の変更に対応できないといった状況は、意図せずコンプライアンス違反につながる恐れもあります。粉飾決算や脱税、情報漏洩といった重大な事態を引き起こす可能性も否定できません。

1-4. 経営判断の遅れと機会損失

正確な財務情報がタイムリーに提供されないことは、経営陣が会社の状況を正確に把握できず、適切な経営判断を下すことを困難にします。資金繰りの悪化に気づけない、新規事業への投資判断が遅れるなど、企業の成長機会を逃すことにもつながりかねません。

2. ゼロから始める経理業務!最初の一歩

 

「引き継ぎなし」という困難な状況でも、落ち着いて最初の一歩を踏み出すことが重要です。まずは現状を把握し、優先順位を立てて行動しましょう。

2-1. 現状の把握と課題の洗い出し

まずは、自分が担当することになった経理業務の全体像を把握し、何が分かっていて何が分からないのかを具体的にリストアップします。

✅業務内容の洗い出し

日々どのような業務があるのか、過去の資料や記録から推測できる範囲でリストアップします。

(例:仕訳入力、請求書発行、入金管理、経費精算、給与計算、月次決算、年次決算など)

✅不明点の特定

各業務について、「この勘定科目は何?」「この処理方法は?」「どのシステムを使うの?」といった具体的な疑問点を書き出します。

✅利用可能なリソースの確認

既存の資料 過去の会計帳簿(仕訳帳、総勘定元帳など)、決算書、試算表、請求書、領収書、銀行の入出金明細、契約書など、会社に残されている書類を徹底的に確認します。これらは過去の取引履歴や会社のルールを読み解く上で非常に重要な手がかりとなります。
会計ソフトやシステム 以前から使用されている会計ソフトや経費精算システムがあれば、そのログイン情報や基本的な操作方法を確認します。
周囲の協力 社長や他部署の社員、以前の経理担当者と接点があった営業担当者などに、過去の取引内容や慣習について聞き取りを行います。不明な点があれば、臆せずに質問することが大切です。ただし、経理に関する知識が乏しい可能性もあるため、質問内容を具体的に準備し、確認する姿勢が重要です。
外部の専門家 顧問税理士や会計士がいる場合は、最も頼りになる存在です。会社の会計処理のルールや過去の経緯について確認しましょう。

2-2. 優先順位の設定

経理業務には、法律で定められた期限のあるものや、会社の資金繰りに直結するものなど、優先度の高い業務が存在します。まずは、これらを特定し、対応を急ぐ必要があります。

 

資金繰りに直結する業務 請求書発行、売掛金・買掛金管理、支払い業務、入金確認など。会社のキャッシュフローを滞らせないために最優先で対応します。
法定期限のある業務 税務申告、社会保険料の納付、給与計算と支払いなど。これらを怠ると、延滞税や罰金が発生したり、従業員の信用を失ったりする可能性があります。
日次・月次・年次業務の把握 まずは日次業務から着手し、日々の取引を正確に記録することから始めます。その後、月次業務、年次業務へと範囲を広げていくと良いでしょう。

3. 効率的な情報収集術と業務の可視化

 

情報がない中で業務を回すためには、効率的な情報収集と、それを可視化して体系的に整理することが不可欠です。

3-1. 既存資料の徹底的な読み込み

前項で触れた既存資料は、まさしく「宝の山」です。

 

会計帳簿(仕訳帳、総勘定元帳) 過去の取引の記録です。どのような勘定科目が使われているか、どのような取引が日常的に発生しているかを知ることができます。
決算書、試算表 会社の財政状態や経営成績を示す書類です。貸借対照表や損益計算書から、主要な資産・負債、収益・費用を把握し、会社の全体像を理解します。
請求書、領収書、契約書 個々の取引の詳細が記載されています。日付、金額、取引先、内容などを確認し、会計ソフトへの入力内容と照合します。

銀行通帳、

インターネットバンキングの明細

実際の資金の流れを把握するために最も重要です。過去の入出金履歴から、売上入金、仕入れ支払い、経費精算、税金納付などを特定できます。

 

これらの資料を時系列で確認し、どのような業務がどのようなサイクルで行われていたかを推測します。

3-2. 他部署・経営層へのヒアリング

直接的な引き継ぎがなくても、社内には経理に関する断片的な情報を持つ人がいます。

 

営業・購買部門 請求書の発行タイミング、入金サイクル、仕入れ先の支払い条件など、取引に関する情報を把握しています。
人事・総務部門 給与計算に必要な従業員情報、社会保険の手続き、福利厚生費の処理方法などについて情報を持っています。
経営層 会社の経営方針、主要な取引先との契約内容、資金調達の状況など、経理業務の背景にある重要な情報を確認できます。

 

ヒアリングの際は、「何が」「いつ」「誰が」「どうする」といった5W1Hを意識して、具体的な情報を引き出すように努めましょう。

3-3. 経理業務フローの作成とマニュアル化

情報収集と並行して、判明した業務内容をフローチャートやマニュアルとして可視化・文書化することが重要です。これにより、業務の全体像を把握しやすくなり、今後の属人化を防ぐことにもつながります。

 

業務の洗い出し 日次・月次・年次で発生するすべての経理業務を細かくリストアップします。
タスクの細分化 各業務をさらに細かいタスクに分解し、それぞれの具体的な作業内容、担当者、使用ツール、期限、チェックポイントなどを明確にします。
時系列での整理 洗い出したタスクを時系列に並べ、業務の流れを図やフローチャートで作成します。
マニュアル作成 作成したフローチャートを基に、誰が見ても理解できるよう、専門用語には注釈をつけたり、図や動画を活用したりしてマニュアルを作成します。

 

✅マニュアル作成のポイント

  • 目的・目標を明確にする。

  • 手順・フローを具体的に示す。

  • 使用ツールを明記する。

  • 注意事項やトラブル対応方法を記載する。

  • 抜け漏れがないように記入する。

  • 社内用語や専門用語には注釈をつける。

 

4. 経理業務を効率化するためのITツール活用

 

引き継ぎなしの状況を乗り越え、さらに将来にわたって効率的で正確な経理体制を構築するためには、ITツールの活用が不可欠です。

4-1. クラウド会計ソフトの導入

クラウド会計ソフトは、日々の取引入力、帳簿作成、決算書の作成などを効率化し、人的ミスの削減に大きく貢献します。

 

自動仕訳機能 銀行口座やクレジットカード、電子マネーの明細を自動で取り込み、AIが学習して仕訳を自動作成します。これにより、手入力の手間が大幅に削減され、入力ミスも防止できます。
リアルタイムでの経営状況把握 クラウド上でデータが管理されるため、いつでもどこでも最新の財務状況を確認できます。キャッシュフローレポートや収益レポートなども自動で作成され、迅速な経営判断をサポートします。
税理士との連携 顧問税理士とのデータ共有が容易になり、税務申告の効率化や相談の質の向上につながります。
電子帳簿保存法への対応 電子帳簿保存法に対応したソフトを選べば、書類のペーパーレス化を促進し、管理コストの削減にも貢献します。

4-2. 経費精算システム

経費精算システムを導入することで、従業員の経費申請から承認、経理処理までの一連のフローを効率化できます。領収書のペーパーレス化、自動仕訳、不正申請の検知などの機能により、経理担当者の負担を大幅に軽減します。

4-3. 請求書発行・管理システム

請求書の発行、郵送、入金管理、消し込み作業などを自動化できます。これにより、請求業務の効率化だけでなく、売掛金の管理精度も向上し、黒字倒産のリスクを低減できます。

5. 専門家への相談とアウトソーシングの活用

 

「引き継ぎなし」の状況は、社内リソースだけでは解決が難しいケースも少なくありません。そのような時は、外部の専門家やサービスを活用することも賢明な選択です。

5-1. 顧問税理士・会計士との連携

既存の顧問税理士や会計士がいる場合は、最も頼りになる存在です。会社の会計ルール、過去の税務申告、財務状況について詳細な情報を持っている可能性が高いため、積極的に相談しましょう。もし顧問税理士がいない場合でも、この機会に信頼できる専門家を探し、アドバイスを求めることを検討してください。

5-2. 経理アウトソーシングの検討

経理業務の一部または全てを外部の専門業者に委託する「経理アウトソーシング」は、「引き継ぎなし」の状況を乗り越える上で非常に有効な手段です。

✅経理アウトソーシングのメリット

専門性・正確性の確保 経理のプロフェッショナルが業務を担当するため、法改正への対応やミスの防止など、高品質で正確な処理が期待できます。
人手不足の解消 経理業務は定型的な作業が多く、慢性的な人手不足に悩む企業にとって、外部委託は大きな助けとなります。採用コストや教育コストの削減にもつながります。
コア業務への集中 経理業務を外部に任せることで、社内のリソースを本来の事業戦略や売上向上に直結するコア業務に集中させることができます。

属人化の解消と

内部不正の防止

外部の専門家が複数体制で業務を行うことで、特定の個人に業務が集中する属人化を防ぎ、内部不正のリスク低減にもつながります。
引き継ぎコストの削減 担当者の突然の退職時にも、アウトソーシングを利用していれば業務の継続性が保たれ、新たな引き継ぎにかかる時間や労力を削減できます。

✅アウトソーシングサービスの選び方

提供サービス範囲 自社の課題に合ったサービス(記帳代行、給与計算、決算・申告業務、売掛金・買掛金管理など)を提供しているか確認します。
実績と信頼性 委託先には機密情報を提供するため、実績が豊富で信頼できる業者を選びましょう。
コミュニケーション 密な連携が取れるか、疑問点に迅速に対応してくれるかなども重要な選定ポイントです。
費用対効果 サービス内容と料金のバランスを見極め、自社にとって最適なプランを選びます。

6. 将来を見据えた経理体制の構築

 

「引き継ぎなし」という緊急事態を乗り越えたら、次は二度と同じ状況に陥らないよう、盤石な経理体制を構築することが重要です。

6-1. 継続的なマニュアルの更新と共有

一度作成した経理マニュアルも、法改正や業務プロセスの変更、使用ツールのアップデートなどに応じて定期的に見直し、常に最新の状態に保つことが重要です。また、マニュアルは特定の部署や個人が保管するのではなく、クラウドストレージなどを活用して関係者全員がいつでもアクセスできる状態にしておくことが望ましいです。

6-2. 複数人での業務体制の構築

可能であれば、経理業務を複数人で分担し、相互にチェックし合える体制を構築しましょう。これにより、業務の属人化を防ぎ、担当者の急な不在時にも業務が滞るリスクを軽減できます。小規模な会社で複数人の経理担当者を置くのが難しい場合は、他部署の従業員が一部の経理業務を理解し、緊急時に対応できるようなクロスファンクショナルな体制を検討するのも良いでしょう。

6-3. 定期的な業務の見直しと改善

経理業務フローは、一度作成したら終わりではありません。定期的に「見える化」されたフローを見直し、非効率な部分がないか、より改善できる点はないかを検討することが大切です。ITツールの導入やペーパーレス化、キャッシュレス化なども積極的に推進し、継続的な業務改善を図りましょう。

まとめ:ピンチをチャンスに変える「引き継ぎなし」の経理業務

経理の「引き継ぎなし」という状況は、確かに大きな不安を伴うものです。しかし、これは同時に、これまでの慣習を見直し、より効率的で強固な経理体制をゼロから構築する絶好の機会でもあります。

 

本記事でご紹介した、

 

  1. 現状把握と優先順位付け
  2. 既存資料の徹底的な読み込みと他部署へのヒアリング
  3. 経理業務フローの作成とマニュアル化
  4. クラウド会計ソフトなどのITツール活用
  5. 外部専門家やアウトソーシングサービスの活用
  6. 継続的な改善と複数人体制の構築

 

といったステップを着実に実行することで、必ずこの困難を乗り越え、経理のプロフェッショナルとして、そして企業の安定経営を支える重要な存在として成長できるはずです。

 

もし、社内でのリソースが限られている、あるいは専門的な知識を持った人材が不足していると感じる場合は、StepBaseのようなオンラインアウトソーシングサービスが強力なサポートとなります。専門知識と経験豊富なスタッフが、あなたの会社の経理業務を「ゼロ」から支え、効率化と安定化を実現します。

 

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まずはお気軽に「StepBase経理」へご相談ください。

 

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