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バックオフィス業務効率化で見つける「隠れた非効率」:フロー改善で企業の成長を加速

作成者: StepBase|2025.09.09

企業の成長を阻む「見えない壁」を打ち破る

 

企業活動の根幹を支えるバックオフィス業務は、売上に直結しない「間接部門」と見なされがちです。しかし、経理、人事、総務、法務、情報システムといったこれらの部門が円滑に機能することは、企業全体の生産性向上、コスト削減、ひいては競争力強化に不可欠です。近年、働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せる中で、バックオフィス業務の効率化は、もはや待ったなしの経営課題となっています。

 

「うちは特に問題ないだろう」「日々の業務で手がいっぱいだ」と感じている企業ほど、実は「隠れた非効率」が蔓延している可能性は少なくありません。手作業による非効率な業務フロー、特定の担当者にしか分からない「属人化」、そしてデジタル化の遅れは、知らず知らずのうちに企業の成長を阻む「見えない壁」となり得ます。

 

本記事では、バックオフィス業務に潜む「隠れた非効率」をいかに見つけ出し、業務フローを改善していくべきか、具体的なステップと効果的な施策をプロの視点から解説します。この記事を読み終える頃には、あなたの会社のバックオフィスが抱える課題が明確になり、その解決に向けた具体的な第一歩を踏み出せるようになるでしょう。

 

1.バックオフィス業務における「隠れた非効率」とは?

 

バックオフィス業務の効率化を考える上で、まず認識すべきは「非効率」が表面化していないケースが多いという事実です。多忙な現場では、当たり前として受け入れられている慣習の中にこそ、大きな無駄が潜んでいることがあります。

1-1.見落とされがちな非効率の主な原因

多くの企業で見過ごされがちなバックオフィスの非効率には、以下のような共通の原因があります。

 

業務の属人化・

ブラックボックス化

「あの人にしかできない仕事」が存在すると、担当者の急な欠勤や退職時に業務が滞るだけでなく、非効率なプロセスが外部から見えにくくなります。マニュアルがない、あるいは更新されていないケースも多く、業務改善のメスを入れにくい状況を生み出します。
アナログ業務の残存 紙での書類管理、手作業でのデータ入力、FAXでのやり取りなど、デジタル化されていない業務は依然として多く残っています。これらは時間とコストを浪費し、ヒューマンエラーの原因にもなります。
重複作業・二重入力 複数のシステム間で同じ情報を手入力したり、部署間で同じデータ作成を行ったりする重複作業は、無駄な時間とコストを生み出します。
非効率な承認フロー 多くの承認段階や物理的な書類の回覧が必要な承認プロセスは、業務の停滞を引き起こし、意思決定のスピードを著しく低下させます。
最新ツールの未活用 RPAやクラウドサービス、AIなど、業務効率化に役立つ最新技術が多数登場していますが、その導入や活用が進んでいない企業も少なくありません。

変化への抵抗・

「これまで通り」文化

「今までこのやり方で問題なかったから」という固定観念は、新たな改善策の導入を阻む大きな壁となります。

1-2.非効率がもたらす具体的な悪影響

これらの「隠れた非効率」は、直接的な売上減には繋がりにくいものの、企業経営に深刻な悪影響を及ぼします。

 

コスト増大 無駄な残業代、紙代、印刷代、郵送費、書類保管スペースの費用など、見えないコストが積み重なります。
生産性の低下

定型業務に追われることで、本来注力すべき戦略的な業務や付加価値の高い業務に時間を割けなくなり、企業全体の生産性が低下します。

ヒューマンエラーの増加 手作業や複雑なプロセスは、入力ミスや確認漏れといった人的ミスの温床となり、手戻り作業や信頼失墜に繋がります。
従業員エンゲージメントの低下 やりがいの少ない定型業務や長時間労働が常態化することで、従業員のモチベーションが低下し、離職にも繋がる可能性があります。

事業継続リスク

(BCP対策)の脆弱化

業務が属人化していると、担当者の不在時に業務がストップし、事業継続が困難になるリスクが高まります。
経営判断の遅延 情報の集計や分析に時間がかかり、リアルタイムでの正確なデータが不足することで、迅速な経営判断が妨げられます。

2.業務フロー改善で見つける非効率の兆候

 

「隠れた非効率」を見つけ出すためには、普段の業務の中に潜む「兆候」に気づくことが重要です。以下のようなサインが見られたら、あなたの会社のバックオフィス業務フローには改善の余地があるかもしれません。

2-1.こんなサインがあったら要注意!

✅月末や特定の時期に業務が集中し、残業が常態化している


特に経理や人事では、決算期や年末調整、給与計算などの時期に業務が集中しがちです。これが恒常化している場合、業務プロセスのどこかにボトルネックがあります。

 

 

✅同じような内容の問い合わせが頻繁に発生している


社内からの経費精算や福利厚生に関する問い合わせなど、定型的な質問にバックオフィス担当者が多くの時間を割いているのは非効率の典型です。

 

 

✅紙の書類を探すのにいつも時間がかかる、保管場所に困っている


必要な情報にすぐにアクセスできないのは、情報管理が適切に行われていない証拠です。ペーパーレス化が進んでいない企業に多く見られます。

 

 

✅業務の引き継ぎに莫大な時間がかかり、新人教育が難しい


マニュアルが不十分であったり、特定の担当者しか知らない業務が多い場合に発生します。

 

 

✅データ入力や転記作業に多くの時間が割かれている


手作業でのデータ入力はヒューマンエラーを誘発しやすく、RPAなどのツールで自動化できる可能性が高い業務です。

 

 

✅意思決定や承認に時間がかかり、業務が滞りがちになる


決裁プロセスが複雑だったり、物理的な承認が必要だったりすると、業務全体のスピードが低下します。

2-2.業務担当者が抱える「困りごと」に耳を傾ける

非効率の兆候は、現場で働く従業員の「困りごと」に集約されています。経営層や管理職が認識していない課題でも、現場の担当者は日々の業務で具体的な不便さを感じています。

 

  • 「この作業、もっと簡単にできないのかな?」

  • 「なんでいつもこの時期はこんなに忙しいんだろう?」

  • 「Aさんがいないとこの仕事は進まない…」

  • 「また同じデータの入力か、面倒だな…」

 

これらの声は、業務改善のヒントの宝庫です。積極的にヒアリングを行い、担当者の具体的な不満や非効率と感じる点を洗い出すことが、業務フロー改善の第一歩となります。

3.業務フロー改善の具体的なステップ

 

バックオフィス業務の非効率を特定し、改善していくためには、体系的なアプローチが必要です。闇雲にツールを導入するのではなく、以下のステップで着実に進めることが成功の鍵となります。

step1.現状業務の可視化と棚卸し

まず、現状の業務がどのように行われているかを「見える化」します。これが業務改善の最も重要な土台となります。

 

対象業務の洗い出し バックオフィスで行われている全ての業務をリストアップします。経理、人事、総務、法務など部門ごとに細分化し、定型業務から突発業務まで漏れなく洗い出しましょう。
業務フローチャートの作成 洗い出した業務ごとに、どのような手順で、誰が、何を使って、どのくらいの時間をかけて行っているかを詳細に記述し、フローチャートを作成します。マインドマップツールなども有効です。
工数計測とリソース配分の把握 各業務にかかる時間や頻度を計測し、どの業務にどれだけの人員が割かれているかを把握します。工数管理ツールも活用できます。

書類・データの

一元管理状況確認

どのような書類やデータが、どこに、どのような形式で保管・共有されているかを確認します。

 

このステップで「誰が、何を、いつ、どこで、どのように、なぜ」その業務を行っているのかを明確にすることが、属人化やブラックボックス化の解消にも繋がります。

step2.課題の特定とボトルネック分析

可視化された業務フローをもとに、非効率な点や課題を具体的に特定し、その原因を深掘りします。

 

無駄な工程の洗い出し 重複作業、不必要な承認プロセス、手作業による転記などを特定します。
ボトルネックの特定 業務の流れが滞る原因となっている工程や担当者を見つけ出します。例えば、特定の担当者で承認が止まっている、処理に時間がかかるシステムがあるなどです。
属人化の特定 マニュアルがない、特定のスキルを持つ人しかできない業務、共有されていないノウハウなどを明確にします。
ヒューマンエラー発生箇所の分析 どのような種類のミスが、どの工程で、どのくらいの頻度で発生しているかを分析します。

step3.改善策の立案と優先順位付け

特定された課題に対して、具体的な改善策を立案し、その効果や実現可能性を考慮して優先順位をつけます。

 

改善策のブレインストーミング ツール導入、マニュアル作成、業務プロセスの変更、アウトソーシングなど、多様な角度から改善策を検討します。
効果とコストの評価 各改善策がどれくらいの効果(コスト削減、時間短縮、エラー削減など)をもたらすか、また導入にかかるコストやリソースを試算します。
優先順位の決定 費用対効果が高く、かつ実現しやすいものから優先的に着手します。小さな成功体験を積み重ねることが、組織全体の改善意識を高めます。

step4.実行と効果測定、継続的な改善

立案した改善策を実行し、その効果を定期的に測定しながら、継続的な改善サイクルを回します。

 

改善策の実行 計画に基づき、ツール導入、マニュアル整備、教育などを行います。
効果測定 改善策導入後に、目標として設定した指標(処理時間、エラー率、コストなど)がどの程度改善されたかを測定します。
フィードバックと見直し 測定結果や現場からのフィードバックをもとに、さらに改善が必要な点を特定し、次の改善策に繋げます。一度で完璧になることはないため、PDCAサイクルを回し続けることが重要です。

4.効率化を加速させる具体的な施策

 

業務フローの改善ステップを踏んだ上で、具体的な施策を導入することで、バックオフィスの効率化は大きく加速します。

4-1.ツールの導入・活用

最新のテクノロジーを活用することで、手作業や定型業務を劇的に削減できます。

 

RPA

(Robotic Process Automation)

パソコン上で行われる定型業務をロボットが自動で処理するツールです。データ入力、転記、ファイル作成、メール送信など、繰り返し行われる作業に大きな効果を発揮し、ヒューマンエラーの削減にも繋がります。
ワークフローシステム 申請・承認プロセスを電子化し、自動化するシステムです。稟議書の回覧や承認状況の確認がスムーズになり、意思決定の迅速化に貢献します。
クラウド型会計・人事労務システム 経理、給与計算、勤怠管理、年末調整などの業務をクラウド上で一元管理し、自動化・連携を強化します。ペーパーレス化にも繋がり、場所を選ばずに業務を行えるようになります。
電子契約システム 契約書の作成、署名、保管までをオンラインで完結させ、郵送や管理の手間を削減し、コンプライアンス強化にも繋がります。
社内チャットボット 従業員からの頻繁な問い合わせに対し、AIが自動で回答することで、バックオフィス担当者の負担を大幅に軽減します。

文書管理システム・

クラウドストレージ

紙の書類を電子化し、一元的に管理することで、必要な情報へのアクセスを容易にし、保管コストも削減します。

4-2.マニュアル化と標準化の徹底

業務が属人化する大きな原因は、業務のやり方が形式知として共有されていないことにあります。

 

業務プロセスの明文化と

マニュアル作成

各業務の手順、担当者、使用ツール、注意点などを明確に記述したマニュアルを作成します。これにより、誰でも同じ品質で業務を行えるようになり、引き継ぎや教育の効率も向上します。
フォーマットや書式の統一

社内で使用する各種書類や報告書のフォーマットを統一することで、作成や確認にかかる時間を削減し、情報の一貫性を保ちます。

ベストプラクティスの共有 効率的な業務のやり方や成功事例を定期的に共有し、組織全体のナレッジとして蓄積・活用します。

4-3.アウトソーシングの戦略的活用

自社で行う必要のない業務や、専門性の高い業務を外部に委託することで、コア業務への集中と業務品質の向上を図ります。

 

ノンコア業務の委託 経費精算、給与計算、社会保険手続き、データ入力、書類整理など、定型的で繰り返し発生する業務をアウトソーシングします。これにより、社内リソースを企業の成長に直結するコア業務に再配分できます。
専門性の高い業務の委託 法務関連のチェック、高度な経理処理など、専門知識やスキルが必要な業務を外部のプロフェッショナルに委託することで、品質と正確性を確保します。
繁忙期のみの利用 年末調整や決算期など、一時的に業務量が増大する時期にアウトソーシングを活用することで、恒常的な人員増強なしに業務負担を軽減できます。

 

アウトソーシングには、コスト削減、人手不足解消、業務品質向上といったメリットがありますが、情報漏洩リスクや社内ノウハウの蓄積がしにくいといったデメリットも存在します。委託先の選定には、セキュリティ体制や実績を十分に確認することが重要です。

4-4.社内コミュニケーションの強化

業務の連携や情報共有がスムーズに行われないことも、非効率の原因となります。

 

部署間の連携強化 定期的な情報共有会や合同プロジェクトの実施を通じて、部署間の壁を取り払い、連携を強化します。
情報共有ツールの活用 ビジネスチャットやグループウェア、社内Wikiなどを活用し、必要な情報にいつでもアクセスできる環境を整備します。

5.バックオフィス業務改善の成功事例

 

ここでは、実際の事例を元に、どのようにバックオフィス業務の非効率が改善されたかを紹介します。

事例1.紙ベースの経費精算と承認フローのデジタル化

ある中小企業では、紙での経費精算申請が毎月大量に発生し、経理担当者は処理に追われ、承認者もオフィスにいないと承認できないため業務が滞っていました。これを改善するため、クラウド型の経費精算システムを導入。従業員はスマートフォンからレシートを撮影して申請できるようになり、承認者は場所を選ばずにオンラインで承認が可能になりました。

 

✅改善効果

経費精算にかかる時間が月間200時間以上削減され、経理担当者の残業が大幅に減少。承認スピードも向上し、従業員のストレスも軽減されました。ペーパーレス化により、紙代や印刷代も削減。

事例2.属人化していた人事・労務業務のアウトソーシング

あるベンチャー企業では、人事・労務担当者が1名体制で、給与計算、社会保険手続き、入退社手続きなど多岐にわたる業務を一人で抱えていました。法改正への対応も担当者個人の努力に依存しており、業務品質のリスクと担当者の負担増大が課題でした。そこで、給与計算と社会保険手続きを専門のアウトソーシングサービスに委託。

 

✅改善効果

担当者の業務負担が半減し、採用活動や従業員研修といった戦略的な業務に集中できるようになりました。専門家による処理で法改正への対応も万全になり、業務品質と信頼性が向上。新たな人材採用のコストも削減できました。

事例3.情報共有不足による問い合わせ対応の効率化

多くの従業員が在籍する企業で、人事、総務、IT部門には、福利厚生、社内規定、PCトラブルに関する定型的な問い合わせが集中し、本来の業務が圧迫されていました。この状況を改善するため、社内FAQサイトとチャットボットを導入。

 

✅改善効果

従業員が自己解決できる割合が増え、各部門への問い合わせ件数が30%削減。担当者は本来の専門業務に集中できるようになり、従業員も疑問をすぐに解決できるため満足度が向上しました。

6.バックオフィス業務改善で得られるメリット

 

バックオフィス業務の改善は、企業に多岐にわたるメリットをもたらします。

6-1.コスト削減と生産性向上

 

人件費の削減 定型業務の自動化や効率化により、業務にかかる時間が短縮され、残業代の削減や、より少ない人員で業務を回すことが可能になります。
間接コストの削減 ペーパーレス化による紙代・印刷代・郵送費の削減、書類保管スペースの有効活用などが実現します。
コア業務への集中  非効率な業務から解放されたリソースを、売上拡大や企業成長に直結する企画、戦略立案、顧客対応などのコア業務に振り分けられるようになります。
企業全体の生産性向上 バックオフィスが効率化されることで、フロントオフィスもスムーズに業務を進められるようになり、企業全体の生産性が底上げされます。

6-2.従業員満足度とエンゲージメントの向上

業務負担の軽減 無駄な作業や残業が減ることで、従業員のストレスが軽減され、ワークライフバランスが改善されます。
ヒューマンエラーの減少 自動化や標準化によりミスが減ることで、やり直し作業の減少や責任の重圧からの解放に繋がります。
戦略的業務へのシフト 定型業務から解放され、よりクリエイティブで付加価値の高い業務に挑戦する機会が増え、従業員のモチベーションとエンゲージメントが向上します。

6-3.企業競争力の強化

迅速な意思決定 業務フローが可視化され、データがリアルタイムで共有されることで、経営層は迅速かつ正確な意思決定を下せるようになります。
内部統制・ガバナンスの強化 業務プロセスの透明化、マニュアル化により、不正の防止やコンプライアンス遵守体制が強化されます。
変化への対応力向上 効率的なバックオフィスは、市場や法制度の変化にも柔軟に対応できる強靭な企業体質を築きます。
企業イメージの向上 効率的で働きやすい環境は、優秀な人材の獲得にも繋がり、企業としてのブランドイメージを高めます。

まとめ:バックオフィスは企業の未来を拓く「戦略的部門」へ

バックオフィス業務の非効率は、多くの企業にとって深刻ながら見過ごされがちな課題です。しかし、業務の可視化から始まり、ツールの導入、マニュアル化、そしてアウトソーシングの戦略的活用に至るまで、適切なステップを踏むことで、これらの「隠れた非効率」は確実に改善できます。

 

バックオフィスはもはや「コストセンター」ではなく、企業全体の生産性を高め、競争力を強化する「戦略的部門」としての役割が期待されています。業務フローの改善を通じて、コスト削減、ヒューマンエラーの防止、従業員満足度の向上といった多大なメリットを享受できるだけでなく、企業の持続的な成長を盤石なものにするでしょう。

 

もし、自社のバックオフィス業務に「隠れた非効率」を感じているなら、今こそ改善の第一歩を踏み出す時です。


現状の課題特定から最適な改善策の提案、そして実行までを一貫してサポートできる専門家パートナーを活用することも、業務改善を成功させる近道となります。

 

企業の未来を拓くバックオフィス業務改善にご興味をお持ちでしたら、ぜひこちらまでお問い合わせください。経験豊富なプロフェッショナルが、貴社の「隠れた非効率」を見つけ出し、最適な解決策をご提案いたします。