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採用難時代を乗り越える!人手不足解消と定着率向上、エンゲージメントを高める職場づくりの秘訣

作成者: StepBase|2025.09.09

「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」

「人手不足で既存社員の負担が増大している」――。

 

現代の多くの企業が、このような採用難と人手不足の課題に直面しています。少子高齢化による労働人口の減少が続く日本では、企業の人手不足は深刻な社会問題となっており、特に中小企業では若者の大企業志向や賃金格差、高い離職傾向により、より厳しい状況に置かれています。

 

この採用難時代を乗り越え、持続的な成長を実現するためには、単に新しい人材を確保するだけでなく、既存社員の定着率を向上させ、エンゲージメントを高める職場づくりが不可欠です。本記事では、最新の情報を踏まえ、人手不足解消に向けた具体的な戦略と、社員が「ここで働き続けたい」と心から思える魅力的な職場環境を構築するための秘訣を解説します。

 

 

1.深刻化する人手不足の現状と企業が直面する課題

 

日本における人手不足問題の背景には、少子高齢化の進行とそれに伴う労働人口の減少があります。総務省のデータによると、生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少し、2050年には約5,275万人にまで減少すると予測されています。この構造的な問題は中長期的に続き、企業の採用活動を「売り手市場」へと変化させています。

 

採用難がもたらす影響は多岐にわたります。

 

生産性の低下 人手不足により一人あたりの業務量が増加し、業務品質の低下や残業時間の増加を招きます。
既存社員への負担増大 新たな人材が確保できないことで、既存社員への業務負荷が集中し、疲弊や離職につながる悪循環を生み出します。
事業縮小・成長機会の逸失 必要な人材が確保できないために新規事業の立ち上げが困難になったり、既存事業の縮小を余儀なくされたりするケースもあります。
採用コストの高騰

採用競争の激化に伴い、求人広告費や人材紹介手数料などの採用コストが増大しています。

 

こうした状況下で、企業が特に注力すべきは、社員が自社に「貢献したい」と自発的に思える「従業員エンゲージメント」の向上です。単に労働条件や環境に「満足しているか」を示す従業員満足度に対し、エンゲージメントは企業理念やビジョンに共感し、目標達成に向けて積極的に貢献しようとする意欲や愛着度合いを指します。エンゲージメントが高い従業員は、仕事への情熱が強く、自発的に業務改善や効率化のアイデアを出し、組織全体の生産性向上に貢献するとされています。

2.定着率向上のための具体的な戦略

 

社員が長期にわたって会社に留まり、継続して働き続ける「人材定着」は、企業の持続的な成長と競争力維持に不可欠です。新卒社員の入社3年以内離職率は一般的に約3割とされており、定着率を高めるための戦略が強く求められています。

2-1. 採用ミスマッチの防止と効果的なオンボーディング

早期離職の大きな原因の一つは、入社後のミスマッチです。これを防ぐためには、採用プロセスから見直し、入社後のサポートを強化する必要があります。

✅明確なジョブディスクリプションと企業文化の共有

求職者に対し、仕事内容、必要なスキル、企業の文化や価値観を正確かつ具体的に伝えることが重要です。SNSや自社メディアを活用し、職場のリアルな情報を可視化することで、マッチング精度を高めることができます。

✅オンボーディングの強化

新入社員が組織に円滑に適応し、早期に生産性を発揮できるようサポートするオンボーディングは、定着率向上に極めて重要です。単なる書類手続きやオリエンテーションに留まらず、以下の要素を包括的に提供することが効果的です。


事前準備 入社前のコミュニケーション、必要書類の準備。
初日の温かい歓迎 スムーズな受け入れ体制。
業務環境の整備 デスク、PC、アクセス権限などの迅速なセットアップ。
組織文化の紹介 会社の理念、価値観、行動規範の説明。
業務トレーニング 役割と責任の明確化、必要なスキル習得支援。
メンタリングプログラム 経験豊富な社員とのペアリングによる精神的・実務的サポート。
定期的なフィードバック 新入社員の進捗確認と改善点の共有。

2-2. 魅力的な報酬・評価制度の構築

公平で透明性の高い評価と、市場価値に見合った報酬は、社員のモチベーションと定着に直結します。

 

公正な評価制度 結果だけでなくプロセスも評価するなど、従業員が納得感を得られる評価制度の整備が重要です。360度評価の導入も客観性の高い評価方法として有効です。
市場価値に見合った給与体系 定期的な賃金の見直しや、成果に応じた報酬制度は、社員の経済的な満足度を高めます。
福利厚生の充実 健康診断補助、住宅手当、育児支援、リフレッシュ休暇など、社員の生活をサポートする福利厚生は、企業への愛着を醸成します。株式会社ジオコードでは、福利厚生アンケートを定期的に実施し、希望に応じた福利厚生を導入することで離職率抑制に成功しています。

2-3. 柔軟な働き方の導入

多様なライフスタイルに対応する柔軟な働き方は、優秀な人材の獲得と定着に不可欠です。

 

リモートワーク・フレックスタイム制 場所や時間にとらわれない働き方は、ワークライフバランスの向上に貢献し、育児や介護中の社員、遠隔地居住者など、これまで取りこぼしていた層の採用・定着につながります。
時短勤務・副業の容認 個々の事情に合わせた柔軟な勤務形態は、社員の負担を軽減し、長期的なキャリア形成を支援します。

 

2024年版の「働きがいのある会社」ランキングでは、「休暇のとりやすさ」が最も改善した設問として注目されており、各社が柔軟な働き方に取り組む様子がうかがえます。

2-4. キャリアパスと成長機会の提供

社員が自身の成長と将来のキャリアパスを描ける環境は、エンゲージメントと定着率を向上させます。

 

OJT/Off-JT

リスキリング支援

新しいスキルを習得するための「リスキリング」は、従業員の職業能力を再開発し、DX推進や人材不足解消に貢献します。富士通では全社員向けのDX教育、キヤノンでは職種転換支援、味の素では従業員の半数以上がDXプログラムを受講するなど、多くの企業がリスキリングを推進しています。これにより、社内人材を育成し、外部採用コストの削減や社内事情に精通した即戦力人材の確保が期待できます。

キャリアカウンセリング

ジョブローテーション

社員一人ひとりのキャリア志向を尊重し、成長をサポートする仕組みは、企業への信頼感を高めます。

3.エンゲージメントを高める職場づくりの秘訣

 

従業員エンゲージメントの向上は、離職率の低下、生産性の向上、顧客満足度の向上、イノベーションの促進、組織文化の強化といった多大なメリットをもたらします。

3-1. コミュニケーションの活性化と心理的安全性の確保

オープンで率直な対話が可能な職場は、エンゲージメントを高める上で基盤となります。

 

オープンな対話・

フィードバック文化

社員が自由に意見を述べ、建設的なフィードバックを交換できる文化を醸成します。定期的な1on1ミーティングは、上司と部下の信頼関係を深め、個人の課題解決や成長を支援する上で非常に有効です。

 


心理的安全性の確保

「対人関係において、リスクのある発言・行動をしてもこのチームなら安心だ、というチームメンバーに共有された信念」を心理的安全性と呼びます。心理的安全性の高い職場では、社員は失敗を恐れずに挑戦し、疑問を率直に尋ね、新しいアイデアを提案できます。

これにより、活発な意見交換やイノベーションが促進され、生産性の向上や離職率の低下につながります。心理的安全性を高めるためには、以下のポイントが挙げられます。

  • お互いを承認し、尊重する文化。
  • 失敗を許容し、共有できる雰囲気。
  • コミュニケーションの機会を増やす。
  • ポジティブかつ建設的な言葉遣いを意識する。

 

社内イベント・

チームビルディング

社内レクリエーションやチームビルディング活動は、部署間の交流を深め、連帯感を醸成します。

3-2. 企業理念・ビジョンの浸透と貢献実感の醸成

社員が企業の目指す方向性を理解し、自身の仕事がその実現に貢献していると感じられることは、エンゲージメントの根幹です。

 

経営層からのメッセージ発信 経営層が企業の理念やビジョンを明確に発信し、社員と共有する機会を増やすことが重要です。行動指針を策定し従業員に共有することで、社内の一体化が図られエンゲージメントが向上するケースが知られています。
貢献実感の可視化 社員の個々の業務が、どのように企業の目標達成に繋がっているのかを明確にし、貢献を称賛する文化を育みます。ピアボーナス制度の導入も、組織や仲間への愛着を醸成する有効な手段です。

3-3. 従業員の「声」を吸い上げる仕組み

社員の意見や不満を吸い上げ、改善に繋げる仕組みは、社員の「会社は自分たちの意見を聞いてくれる」という信頼感を醸成します。

 

エンゲージメントサーベイ・

従業員満足度調査

定期的なアンケート調査により、社員の現状の満足度やエンゲージメント度合いを定量的に把握します。LIXILでは定期的なエンゲージメント調査とマネージャーへのフォローアップミーティングを実施し、エンゲージメント向上に繋げています。
改善活動へのフィードバック 調査結果を基に具体的な改善策を策定し、その進捗を社員にフィードバックすることで、意見が組織に反映される実感を与え、さらなるエンゲージメント向上を促します。

4.外部リソースの活用も視野に:効率的な人手不足解消策

 

社内での取り組みと並行して、外部リソースを戦略的に活用することも、人手不足解消と業務効率化の有効な手段です。特に、中小企業にとって人手不足解消に向けた外部リソースの活用は重要です。

4-1. アウトソーシング(外部委託)の活用

ノンコア業務を外部に委託することで、社員は企業の売上や利益に直結するコア業務に集中できるようになります。

 

コア業務への集中 経理、人事、総務、ITサポートなど、定型的でありながら時間と手間がかかるノンコア業務をアウトソーシングすることで、社内リソースを企業の成長戦略に直結する業務へ再配分できます。
専門性の高い業務の外部委託 専門的な知識やスキルが必要な業務(例:Webサイト運用、コンテンツ作成、デジタルマーケティングなど)を外部のプロフェッショナルに委託することで、業務のスピードと品質を向上させることができます。
採用・育成コストの削減 必要なスキルを持つ人材を一時的に確保できるため、新たな採用活動や育成にかかる時間やコストを削減できます。
業務効率化と生産性向上 外部委託業者は多くの場合、最新のツールや効率的なノウハウを持っているため、自社で行うよりも短期間で高品質な業務処理が期待できます。

4-2. RPA/AI導入による業務効率化

定型的な事務作業やデータ入力などをRPA(Robotic Process Automation)やAIに代替させることで、人手不足を補い、業務効率を大幅に改善できます。これにより、社員はより創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。

まとめ:持続可能な組織へと進化するために

採用難時代における人手不足の解消は、一朝一夕に解決できる問題ではありません。短期的な採用強化だけでなく、定着率の向上従業員エンゲージメントの醸成という長期的な視点に立った組織変革が不可欠です。

 

本記事でご紹介した、

 

  • 採用ミスマッチの防止とオンボーディングの強化

  • 魅力的な報酬・評価制度と柔軟な働き方の導入

  • キャリアパスと成長機会の提供

  • コミュニケーションの活性化と心理的安全性の確保

  • 企業理念・ビジョンの浸透と貢献実感の醸成

  • 従業員の「声」を吸い上げる仕組み

  • アウトソーシングなどの外部リソースの戦略的活用

 

といった施策は、社員が働きがいを感じ、自発的に貢献したいと思える「選ばれる企業」になるための重要なステップです。これらの取り組みを通じて、企業は持続的な成長を実現し、激変するビジネス環境の中で競争力を維持・向上させることができるでしょう。

 

直面する人手不足や業務効率化の課題に対し、外部リソースの活用は大きな打開策となり得ます。コア業務に集中し、企業の競争力を高めるための効率的なアウトソーシングをお考えであれば、ぜひStepBaseにご相談ください。ビジネスを加速させる最適なソリューションを提案します。